センター長 挨拶

 子鹿医療療育センターの前身である子鹿学園は、昭和49年6月に広島県で初めての重症心身障害児施設として開園しました。その目的については児童福祉法の第四十三条の四(昭和42年)に、学園に入所している利用者を「保護するとともに、治療及び日常生活の指導をすること」と明記されていましたが、一人ひとりが持つ障害の種類とその程度には当然のことながら大きな差があり、それぞれに適切な保護と医療、教育、そして生活の場を提供していくことは口で言うほどたやすいことではなく、私たちは開園当初から今日に至るまで利用者から学び、かつ経験しながら試行錯誤を繰り返してきました。また、在宅の障害児(者)に対しても、短期入所事業、短期療育事業、訪問診療などに積極的に取り組んできて、平成9年から障害児(者)地域療育等支援事業、そして14年から重症心身障害児(者)通園事業を開始しましたが、近年、障害の定義や概念が広がるとともに、障害児・者とそのご家族の在宅指向はますます強くなっており、幅広い障害児・者に対する在宅支援のいっそうの充実が求められるようになっております。
 平成24年4月1日に子鹿学園は長年の夢であった新築移転がかないました。それと同時に児童福祉法および障害者自立支援法の改正により、重症心身障害者施設という施設種別はなくなり、18歳未満の障害児に対しては医療型障害児入所施設、18歳以上の障害者に対しては療養介護事業所ということになりました。これを機に施設名称を子鹿医療療育センターと変更するとともに、地域の発達障害や知的障害のある幼児や児童のための児童発達支援事業所「バンビ」を新たに開設しました。
 私たちはこれからもすべての障害児・者をもれなく守り続けていくことをいつまでも変わらぬ目標としていきたいと思います。そして、新しい施設が地域からの大きな期待にこたえ、その名のとおり、県北における障害児・者の医療と療育のセンター(拠点施設)となることを目指します。
 福祉という言葉のもつ意味はすべての人々が幸せに生きるということであり、障害児・者が幸せであることがご家族、そして福祉に携わる私たちの幸せであり、さらに地域のすべての人の幸せにつながることをしっかりと自覚し、いつまでも謙虚に学びつづける姿勢を忘れずに、日々の実践を積み重ねていきます。

センター長 淀 川 良 夫